2025.7.31
小さな違和感から始まる大きな成長

先日、生徒会執行部のある生徒と直接話す機会があり、「君はなぜ執行部に入ったのか」という話題になりました。すると、彼はこう答えました。 「僕は中学時代、学校に対して不満があり、それを自分の手で変えたいと思ったから生徒会に入りました。」 話を聞いて、「学校への不満」とは具体的に何だったのかと気になりながらも、その答えに私は驚き、そしてとても感心しました。
不満を抱いたときに、それをただ口にするだけで終わらせず、自ら行動に移そうとする姿勢はとても立派です。そうした勇気を持てること自体が、大変貴重なことであると思います。
生徒の皆さんは、明星学園のどんなところを変えたいと思いますか。 きっと人それぞれ、いろいろな意見があると思います。
執行部の彼は、iPadなどの通信機器を、校内でもっと自由に使えるようにしたいという思いを持っていました。しかし現状では、ルールを守れない人もいて、「自由に使いたい」と言われても、簡単に「それならOK」と言える状況ではありません。 みんながルールを守れれば、自由化への議論も進められるかもしれませんが、今の状況では難しいのが現実です。「自由に使いたい」という彼の思いは、なかなか実現に至らず、彼は「悔しい」「もどかしい」「何もできていない」と感じているようでした。
このように、生徒会執行部という立場に立っても、自分の理想がすぐに形になるとは限りません。 しかし彼は今、「実際にその立場にならないと味わえない経験」「責任ある立場に立って初めてわかる苦しみや難しさ」をまさに経験しているところです。 この体験こそが、彼のこれからの人生にとって、何よりも大きな学びとなるはずです。
大人になって社会に出ると、「会社の制度が悪い」「政治は信用できない」などと不平不満ばかり口にしながら、何の行動も起こさない人を多く見かけます。そうした「批判はするけれど、自分では何もしない」という姿勢は、自分自身の成長を止めてしまい、周囲にも悪い影響を与えてしまいます。問題を見て見ぬふりをし、改善しようとしなければ、社会全体も前に進めません。 生徒の皆さんには、そうした大人になってほしくありません。「他人事(ひとごと)」にせず、「自分ごと」として、現状を少しでも良くするために、今できることから一歩踏み出せる人になってほしいと願っています。
たとえ挑戦してもすぐに結果が出ないこともあるでしょう。しかし、そうした試行錯誤こそが成長の源です。「悩む」「もどかしく思う」「それでも努力する」――その経験そのものが、皆さんの将来にとって大きな財産になるのです。 不満を抱くことは、決して悪いことではありません。けれども、そこから一歩踏み出し、「では、自分に何ができるか」と実際に行動に移せる皆さんであってほしいと思います。
日々感じる小さな違和感や願いも、見方を変えれば大きな可能性へのヒントになります。勇気を出して、最初の一歩を踏み出してみてください。その一歩が、未来をつくります。