RDD明星2025in学園祭
私たちRDD明星メンバーは今年の学園祭で、①白杖・車いす体験、②RDに関する資料の展示、③当事者さんをお招きしてのトークセッションを開催しました。
①の体験では、お客さんにアイマスクをしてもらい、床に貼り付けた点字ブロックの上を白杖をついて歩いてもらったり、車いすで段差を超える体験をしてもらったりしました。 |
点字ブロックのコースはわずか8メートルほどのものですが、途中3か所で折れ曲がっています。アイマスクによって視覚が完全に失われたお客さんは3分近くかけて、白杖で足元をさぐりながらゴールを目指します。最後のブロックに到着し、アイマスクを外したお客さんからは、「集中してとても疲れた」「ルートを外していないか不安になった」という感想が聞かれました。視覚に障害を持った方々が日常生活で感じていらっしゃることが、実体験として共有できたのではないかと思います。また、車いす体験では、まずは自由に車いすを動かしてもらって、意外と小回りが利くこと、直感的に動かせることを体験してもらいました。 |
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小学校低学年の子どもさんでも、スラロームのコースをスイスイ進むことができ、「これ乗って帰りたい」という言葉も聞かれました。しかし、3センチの角材を床に固定し、それを乗り越えるとなるとたいへんです。一人の力では越えることができないのです。介助の方がいれば難なく越えることはできますが、自力ではどんなに勢いをつけても越えることが難しいのです。3センチの段差は町のいたるところに見られます。介助の方がいないと外出できないとなると、ちょっとしたお出かけも難しくなるのは容易に想像できます。私たちの身の回りにあるハザードに、もっと意識を向けることが大切だと思いました。
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②の資料は、RDD明星立ち上げ時からたいへんお世話になっているNPO法人「ASrid」さんから提供していただいたものです。とくに印象に残ったのは「ペインシェント・ジャーニー」という言葉です。難病患者さんは正確な診断が下りるまで何年もかかってしまうことが珍しくありません。また、その疾患の専門医が遠く離れた場所に勤務されているとなると、治療のために転住する、転職する、家族と離れ離れになる、といったことが起きてしまいます。そもそも病気のせいで「シンドイ」状態であるのに、社会的状況がさらに追い打ちをかけることになってしまうのです。患者さんを取りまく環境をどうすれば少しでも良い状態にできるか、私たちはこれからも考えていきたいと思います。また、病気の種類ごとにまとめられたリーフレットの展示も行いました。このリーフレットは、専門家ではない一般の人向けに書かれたもので、イラストや漫画で病気のことを解説してくれる、とても分かりやすい資料です。RDD明星メンバーの難病に関する知識の多くは、このリーフレットから得たものです。自分たちが得た知識を、今度はアウトプットしていくときの良いお手本にもなっています。今後、期間を決めて、図書館等でも展示してもらおうと思いますので、ぜひ手に取ってみてください。
③今年の学園祭の目玉は、当事者さんによるトークセッションです。先述のASridさんからのご紹介で、重光・ルマ・ナオミさんにお越しいただきました。ナオミさんは「クローン病」の患者さんです。高校2年生の時に診断を受け入院、その症状の重さから、マイナス感情にとらわれ、前向きに取り組むことが難しくなった時期もあったそうです。そんな中、処方された薬が適合し、症状をある程度おさえることができるようになりました。それをきっかけに、持ち前の明るさとチャレンジ精神で、ミスコンテストに応募する気持ちを持ったそうです。そして昨年度は準グランプリ、そして今年度は「ミス・グランド・ジャパン」でグランプリを獲得されました。持病を公表し、自分ががんばることで広く病気のことを知ってもらい、いま困難な状態にある多くの人に明るい話題を届けたい、という思いでチャレンジを続けていらっしゃいます。トークセッションの後は、グランプリの王冠を着けたままで学園祭を見学して、たくさんの生徒との記念撮影に応じてくださいました。ツーショットを撮ってもらった生徒には一生の思い出になったことでしょう。 |
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今年の学園祭でも、当事者の方からお話を聞く・症状の体験をする、といったことをテーマに活動を行いました。私たちはいつ「当事者」になるかは分かりません。けれど、情報を得たり、経験を積んだりすることで、共に事にあたる「共事者」には、いつでもなることができます。今後も学び続ける中で、学校として、中高生として、どのようなことができるかを模索していきたいと思います。