クリスマス・メッセージ
平成23年12月
"スティービーワンダー"、米国人の有名な盲目の黒人歌手、1970年代に世界的なヒット曲を連発し、人びとに多くの感動を与えた人です。彼のアルバムに「キー・オブ・ライス」(1976.10にリリース)というのがあります。日本でホンダ「ロゴ」の自動車CMに使用されたので、ご存知の方もおられるかもしれません。
そのアルバムの中に"Aisha"(スワヒリ語で"ishi"、生命・永遠の意味、その言葉から派生した人名で使用)、彼の子ども(娘、1975.4誕生)につけた名前に由来している曲があります。彼にとって初めて授かったかわいい愛娘に"アイシャ"と名前をつけ、その存在をたたえ、神に感謝している歌です。
曲もさることながら、その詩も素晴らしいものです。一節を紹介する(アルバムの翻訳、影山民夫訳)と、授かった生命に対する賛美と感謝を見事に歌い上げています。特に印象に残る一節は、
I can't believe what God has done,
Through us He's given life to one
But isn't she lovely,
Made from love?
そうさ、神様がしてくれたことが信じられないほどさ
僕たち二人に、この命を与えてくれた
彼女は愛らしいだろう?
これが愛の成果なのさ
子どもの誕生に接するスティービーの気持ちがストレートに表現されています。命は人間が作り出すというよりも、人間を超えた力(神)によって、「授かるもの」であること、そして生命誕生の神秘性を見事に歌い上げています。だからこそ「わたしたちのこの命はかけがえのない尊いものなのだ」という声がにじみ出てくるように思います。
さて、〈クリスマス〉はキリストの誕生を記念するミサ、CHRIST・MASSから来ていることはご存じでしょう。長いキリスト教の歴史の中で、いつのころか12月25日に祝うようになりました。
イメージというのは固定観念になりやすいもので、イエスがパレスチナ地方、ユダヤのベツレヘムで生まれたということということが、世界各地でそれぞれアレンジされ今日の慣習が形成されていったものです。いずれにしろ世界中で宗教に関係なく祝われるようになったのは、何らかの意味が存在すると考えても良いのではないでしょうか。
誕生日は家族で祝ったり、友達同士で祝ったりしますが、冒頭に述べたスティ―ビーのように、生まれてきた命に対して、尊厳を見出し、幸多かれと願う共同体(家族、友達)の思いが込められているのです。だからわたしたちは、
"Happy Birthday"といって祝うのです。
なぜ、イエスの誕生がhappyなのでしょうか? あのベツレヘムの片田舎で、しかも家の中ではなく、家畜小屋の飼い葉桶の中なのでしょうか。聖書(ルカ福音書)には、いわゆる国勢調査があって、先祖たちの出身地(エルサレム)へ行って登録するようにとの、勅令がローマ皇帝からあったことが記されています。そのために国民大移動となり、何処にも泊まるところがなかったことも記されています。
仕方なくマリアが産気づいたので家畜小屋で一夜を過ごすことになりました。しかもマリアはそこでイエスを生むのです。飼い葉桶に寝かされている幼児は、「救い主」(メシア)として人びとに告げられます。その幼児を「救い主」と認めたのは、羊飼いや貧しい人びとなど小さくされている人びとでした。
金持ちや社会的に地位の高い人びとは、幼児イエスを見ても、救い主とは認めなかったのです。何故でしょうか? イエスを「救い主」と認めることは、世間的な常識に目が覆われて見えなくなっていたからで、本当に救い主を望んでいた人びとは、素直に神さまの働きが見えたのです。
わたしたちもこの幼児イエスの中に、神のメッセージをくみ取り、すべての人が神から愛されていることに気付きましょう。そして皆が協力して平和な社会を築いていきましょう。イエスの誕生(クリスマス)は、わけ隔てのないすべての人への救いのメッセージ(良い便り=福音)なのです。
